秋田大学の取組

ダイバーシティ推進施策の概要について

男女共同参画推進にとどまらず、さらなるダイバーシティの推進へ

 秋田大学ダイバーシティ推進室コロコニは、全教職員のワーク・ライフ・バランス向上を目指し、教職員への支援制度の実施、地域・大学間連携、次世代育成、意識啓発などに取り組んでいます。平成21年に設置された男女共同参画推進室は、令和7年4月に「ダイバーシティ推進室」へ改組しました。今後は、これまでの男女共同参画推進に加え、性別にとどまらない多様な背景を尊重し、誰もが力を発揮できる環境づくりを進めるとともに、教育・研究・地域連携を通じて、社会に新たな価値を生み出すことを目指します。

コロコニ
シンボルマーク・コロコニ

秋田大学ダイバーシティ推進室について

 

女性研究者への支援制度の紹介

スタートアップ研究費支援事業

 秋田大学では、女性教員比率向上と定着を目的に、新規採用された女性教員が着任後スムーズに研究活動を開始できるよう、「スタートアップ研究費」による支援を行っています。この制度は、研究基盤の早期確立を促し、女性教員のキャリア形成を支援することを目指しています。

制度利用者の声

「スタートアップ研究費より、学会2件の参加登録費だけでなく、今回申請した研究内容について作成した英語論文の校正を行うことができた。」

「これまで研究から離れており、秋田大学で採用されて初めて助成していただけた研究助成金であったため、大変ありがたかった。助成金が交付されてから約半年の間にある程度の基盤となる結果を出すことができたのは、この支援事業のお陰だと感じています。」

女性研究者支援コンソーシアムあきた

 平成25年、秋田県の女性研究者を支援するため、秋田大学を拠点に、秋田県内の高等教育機関、公設研究機関、自治体、行政機関、企業が連携し、「女性研究者支援コンソーシアムあきた」を設立しました。ロールモデル紹介やリレーコラムを通じて、多様な研究生活を発信しています。

 さらに、平成26年度には「女性研究者支援コンソーシアムあきた賞」を創設し、構成機関に所属する女性研究者の優れた研究成果や取組を顕彰しています。特に、優れた研究成果を挙げた若手女性研究者や研究と育児・介護を両立しながら活動を続ける女性研究者を対象とし、顕彰を通じて女性研究者の研究意欲の向上とロールモデル提示によるジェンダーバランスの推進を目指しています。

女性研究者支援コンソーシアムあきた賞表彰

 

ライフイベント支援制度の紹介

研究支援員制度

 秋田大学の研究者が出産・育児などと研究活動を両立できるよう、「研究支援員制度」を実施しています。この制度では、本学の大学院生や学部学生を研究支援員として採用・配置し、研究活動をサポートします。従来は女性研究者のみを対象としていましたが、令和7年度からはDEI推進の観点から、対象を拡大しました。毎年、約10名の研究者が利用しており、研究活動や生活面でよい効果が報告されています。

制度利用者の声

秋田大学 大学院医学系研究科
器官・統合生理学講座
佐藤 かお理

 小学生2人を育てながら研究を続ける中で、日常の家事や育児に多くの時間を取られ、思うように研究を進められず、目標を下げざるを得ないこともありました。さらに、学校行事や子どもの体調不良による急な呼び出しで、実験が途中で中断してしまう日も少なくありませんでした。

 そのような状況の中、この研究支援員制度を利用し、学生さんに研究を手伝っていただけるようになってからは、実験を予定通り最後まで進められる機会が大きく増えました。準備や片付けといった補助作業を担っていただくことで、限られた時間をより効率的に活用でき、これまで到達が難しかった目標にも取り組めるようになりました。さらに、学生さんが研究室に常に滞在し実験を進めてくれることで、研究室全体に活気が生まれ、私自身も「成果を出したい」という気持ちが一層強まりました。集中して研究に打ち込めるようになったことは大きな成果です。学生さん自身も学会で発表するなど、互いに刺激し合いながら成長できる好循環が生まれています。

 私にとっても学生さんにとっても非常に実りの多い制度であり、利用できて本当に良かったと感じています。

佐藤先生と学生さんが研究内容についてディスカッションしている様子
佐藤先生と学生さんが研究内容についてディスカッションをしている様子

ことりのおへや(病児病児後保育)

 秋田大学の教職員(フルタイム、パートタイムを含む)の子どもが病気で保育園などに登園できない場合、秋田大学医学部附属病院に隣接する千秋保育園内「ことりのおへや(病児・病児後保育)」を利用できます。

 保護者が仕事の都合で自宅での看護・保育が難しいとき、看護師と保育士が家庭に近い環境で看護・保育を行います。本学医学部附属病院との連携により、安心して利用できる体制を整えています。

制度利用者の声

「しっかりと子どもを見て、様子を詳しく教えて頂いたので安心でした。」

「ゆったりと過ごさせていただきました。兄姉も利用させていただいており、「ことりのおへや」が大好きです。安心して預けることができます。」

「安心して子どもをあずけて仕事に行けるので、とても助かります。」

相談窓口の運用

 秋田大学ダイバーシティ推進室では、教職員を支援するため「コンシェルジュ・デスク(相談窓口)」を運営しています。

 この窓口は、教員・職員、非常勤職員を問わず、すべての教職員が利用できます。主に、育児・介護に関する相談、関連施設の情報提供やコーディネートなどを行なっています。問い合わせは、フォームやメールのほか、電話でも受け付けています。また、業務や日常生活に関する不安や悩みについては、専門のカウンセラーによる相談(予約制)も可能です。

 

多様性のある組織を作るための取り組み紹介

コロコニトーク・コロコニラウンジ

 教職員が、育児や介護と仕事の両立、ワーク・ライフ・バランス、働きやすい職場環境づくりについて自由に意見交換する場として、毎年「コロコニトーキング」を開催しています。

 大学の関連制度や意識調査の結果等をテーマとして共有した後、フリートーキング形式で意見や要望を出し合い、多様な立場からの声を集めています。これらの意見を、制度改善やダイバーシティ推進に活かすことを目的としています。こうした要望を受けて、令和6年度には、教職員が気軽に出入りしたり自由に交流できる場として「コロコニラウンジ」を開催しました。

昨年度のコロコニラウンジポスター
昨年度のコロコニラウンジポスター

コロコニラウンジ会場の様子
コロコニラウンジ会場の様子

 

男女共同参画・ダイバーシティ推進ウェブサイトの紹介

 ダイバーシティ推進室の紹介をはじめ、休暇・休業制度や相談窓口の案内、イベント情報などを掲載しています。

 特に、「休暇・休業制度一覧」ページでは、日本語と英語で、教職員が利用できる制度をカテゴリ別に整理し、最新の規程改正を反映しています。カテゴリは、「年次・病気・特別休暇制度」「妊娠期に関する制度」「出産・配偶者の出産に関する制度」「育児期に利用できる制度」「介護が必要な時に利用できる制度」などがあり、必要な情報をわかりやすく伝えています。