和歌山大学の取組
ダイバーシティ推進施策全体の概要について
和歌山大学では、2023年にダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン(DEI)推進本部を設置しました。DEI推進本部は司令塔の役割を担い、その傘下にインクルージョン支援推進室、ジェンダー・エクイティ推進室、キャンパスライフ・健康支援センターがあり、各組織が連携して一人ひとりの学生、教職員のニーズに対応した支援を行っています。
2023年9月には、「ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン推進宣言」を公表し、2025年3月には、推進宣言の実現に向け「ダイバーシティ・インクルージョン・ガイドライン」を策定しました。
傘下にあるジェンダー・エクイティ推進室では、和歌山大学に所属する構成員が性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができるよう、ジェンダー・エクイティの推進、ダイバーシティ環境の実現に取り組んでいます。
主な取組としまして、女性研究者を対象とした研究助成、性別を問わない育児や介護を行う教職員に対する支援を行っています。

女性研究者を対象とした研究助成制度
女性研究者の研究力向上、女性リーダーの育成を目的として、本学では女性研究者を対象とした研究支援を行っています。研究支援は4つにわかれ、「国際学会に参加した際の交通費・宿泊費助成」、「論文執筆した際の投稿料・掲載料助成」、「外国語論文校閲・翻訳費用助成」、「共同研究助成」があります。
国際学会に参加した際の交通費・宿泊費助成
国際学会に参加し、発表(口頭発表、ポスター発表等)を行うための旅費・宿泊費の一部を助成します。
助成を受けた教員の声
システム工学部 助教 森 友里歌
今回の助成により国際会議での貴重な経験を積むことができたことは、今後の研究活動にも大きなプラスとなりました。セルビア科学芸術大学で開催された国際学会に参加するにあたり、交通費及び宿泊費の助成を受けられたことは大変有意義でした。交通費や宿泊費の経済的負担が軽減されたことで渡航や滞在にかかる不安を最小限に抑え学会参加に専念することができ、研究発表の準備や現地で研究者との国際研究交流にも十分な時間を割くことができました。このような学術活動の積極的な支援制度があると、若手研究者の国際的な活躍を後押しすることができると感じています。
今後は対象となる国際会議の登録費助成や、研究活動を含む滞在期間の柔軟な設定が可能となると、より多様な研究者が活用しやすくなると期待しています。最後になりますがこのたびの助成に深く感謝いたします。


共同研究助成
研究代表者として共同研究を行う女性研究者に助成を行います。
助成を受けた教員の声
教育学部 准教授 上野智子
本共同研究では、コミュニティ音楽、音楽療法、音楽教育、特別支援教育の研究者・実践家が集い、音や絵、動きなどによる即興表現を学校や地域など様々な場・シチュエーションで行い、その意味や可能性を探っています。助成を受けられたことは、楽器の購入や会場費など実践を行うために必要な環境を整えることができたとともに、複数の領域の人々が関わる継続的な研究(7年)の実現につながっていると感じています。
2024年度は、音楽に付随するエンカレッジな機能を生かした生涯学習のプログラム開発を目的として、文部科学省から障害者生涯学習に関する実践研究委託を受けている「ゆめ・やりたいこと実現センター」、およびコミュニティ音楽団体「おとあそび工房・音遊びの会」のメンバーと協働したワークショップを実施しました。継続的な研究から得られる知見は大きく、今後も学際的かつ長期的な研究を支援する本制度のさらなる充実を願っています。


ライフイベント支援制度の紹介
産休・育休・介護休業を取得または現在育児、介護を行っている教員への支援
性別を問わず、産後、育児、介護休業から復帰、中学校就学の始期に達するまでの子を養育、要介護者を介護し、研究支援員の配置を希望する教員への研究支援員配置を行っています。
また、産後、育児、介護休業を取得中の教員の指導学生(ゼミ生)について、代わりに指導している教員に研究費の一定額を支給する制度を実施しています。
Life Support Book
出産、育児、介護などの支援体制を記した教職員向けパンフレット「Life Support Book」を電子版で作成し、ジェンダー・エクイティ推進室ホームページや学内共有システムへの掲示を行っています。
より多くの教職員に支援体制を周知し、個々のワークライフ・バランス実現に向けて活用してもらうことを目的としています。


多様性のある組織を作るための先進的な研修制度
ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン(DEI)に関する研修の実施
本学では、学内におけるDEI推進を掲げ、人格と多様性を尊重し合いすべての学生・教職員が安心して過ごせる教育・研究環境の整備を進めており、DEI推進の一環として教職員への年2回の研修、学生・教職員へのDEI推進本部のリーフレット(A4三つ折り)の配布などを実施しています。
研修の内容は、ダイバーシティ、SOGI、人権、アンコンコンシャスバイアスなど多岐にわたりますが、年2回のうちそれぞれ異なったテーマを設定し、外部有識者を招いて、教職員のDEIの理解度を深めることを目的としています。
当日参加できない教職員のために後日オンデマンドで配信を行い、多くの教職員が研修を受講できるよう取り組んでいます。


リーフレット