中国における子育てとキャリアについて

何 歓歓(浙江大学 教授(JSPS中国同窓会副会長))

2015年4月~2017年3月までJSPS外国人特別研究員として日本に滞在しました。現在は浙江大学で教育・研究を継続しています。専門は仏教学(主にインド仏教の研究)です。

私は北京大学の博士課程に在籍していた最後の年(当時26歳)に妊娠・出産しました。子供が生まれる前に博士論文を書き終えなければならず、母は私に「子供が生まれると、あなたの時間はもはやあなたのものではないから」と言いました。娘はいま11歳になりましたが、確かに子供がいる限り、時間は私のものではないことを痛感しています。子育てとキャリアは女性にとって両立の難しい問題で、大きな矛盾とさえ感じることがあります。それでも、幸い両親が頻繁に訪れ、時には住み込みで子育てを手伝ってくれたこと(中国ではよくあることです)もあって、子供のために博論の提出や大学院修了、またその他の仕事を遅らせることはありませんでした。

過去12年間、折りに触れて私と娘の面倒を見てくれる両親に心から感謝しています。娘もお祖父さんとお祖母さんが大好きです。浙江大学と日本学術振興会(外国人研究者招へい事業)等による暖かい支援とともに、家族で助け合うという中国の素晴らしい伝統のおかげもあって、このように国内外での研究生活と子育てを両立させることが可能になりました。